礼を受けるジョイスは、初めてマルヴェリータがキレイと思えた。
「うん」
短く返した、それだけだったが…。
(以前から何度か、見掛けた事の在るお嬢さんだったけど。 美しさが、刃物の様に強いとすら思えるような、冷めたモノだったのになぁ)
今のホッとした笑顔は、とても無防備で良かったと感じるジョイス。
マルヴェリータが乗った後。 馬車に乗る前にKは、ジョイスに寄って。
「なら、‘お守り’は代わったぜ」
と、残して馬車に乗った。
(お守りっスか)
ジョイスは、その言葉で様々なものを納得した。 何故にKが、此処までポリア達を連れて来たのかの意味を…。
こうして、全ては終わる。
Kとポリア達が別れて、全ては終わる。
Kも、ポリア達も、そのつもりだった。
明日には、斡旋所に向かい。 Kのチーム離脱を行い。 そして、Kは離れて行く。
お別れと解ったからこそ、Kを連れてまた。 マルヴェリータの知る飲食店で、軽い贅沢をしようとポリアが言い出す。
食事の間、Kのこれからを聴いたポリア達。
別れたKは、ラキームの後始末を見届けた後。 一人で、西側に流れ様かと言っていた。
そして、食事の後は、バーの在る宿に入った一行。
酒を呑まないKは、風呂に入ってから寝てしまう。
一方、バーで飲み始めたポリア達は、後から来る客が濡れて居るので。 Kの予想通りに、雨が降って来たと知った。
だが、全ては更ける夜に一変した。
霧雨が煙る夜更けに、その飛び込みの来訪者が来た事で。 事態は、一変するのだった…。
{第一部・完}
最初のコメントを投稿しよう!