第一部:その男、伝説に消えた者

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礼を受けるジョイスは、初めてマルヴェリータがキレイと思えた。 「うん」 短く返した、それだけだったが…。 (以前から何度か、見掛けた事の在るお嬢さんだったけど。 美しさが、刃物の様に強いとすら思えるような、冷めたモノだったのになぁ) 今のホッとした笑顔は、とても無防備で良かったと感じるジョイス。 マルヴェリータが乗った後。 馬車に乗る前にKは、ジョイスに寄って。 「なら、‘お守り’は代わったぜ」 と、残して馬車に乗った。 (お守りっスか) ジョイスは、その言葉で様々なものを納得した。 何故にKが、此処までポリア達を連れて来たのかの意味を…。 こうして、全ては終わる。 Kとポリア達が別れて、全ては終わる。 Kも、ポリア達も、そのつもりだった。 明日には、斡旋所に向かい。 Kのチーム離脱を行い。 そして、Kは離れて行く。 お別れと解ったからこそ、Kを連れてまた。 マルヴェリータの知る飲食店で、軽い贅沢をしようとポリアが言い出す。 食事の間、Kのこれからを聴いたポリア達。 別れたKは、ラキームの後始末を見届けた後。 一人で、西側に流れ様かと言っていた。 そして、食事の後は、バーの在る宿に入った一行。 酒を呑まないKは、風呂に入ってから寝てしまう。 一方、バーで飲み始めたポリア達は、後から来る客が濡れて居るので。 Kの予想通りに、雨が降って来たと知った。 だが、全ては更ける夜に一変した。 霧雨が煙る夜更けに、その飛び込みの来訪者が来た事で。 事態は、一変するのだった…。 {第一部・完}
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