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深夜に近付く頃の、絶え間ない霧雨の中。 Kを捜していた斡旋所の遣いが、受付から案内されて。 食堂の一角、バーカウンターで呑んでいたポリア達を見るなり。
「居たっ」
と、声を出した。
何事かと、気を向けたポリアとマルヴェリータ。 二人は、仕切りの低い壁に、鉢植えの植物を入れて。 食堂とバーを区切る狭間から、此方を見た男を見た。
(あれ、斡旋所のマスターの所に居る…)
二人が見た男は、斡旋所の大柄なマスターの手下にて。 常にバンダナを頭に巻いている、30代の人物と。 マスターが日雇いで遣っている、十代の若者の二人で在る
一方、斡旋所で働く二人の男達も、一度見たら忘れない美女二人を見るなり。 ズンズンと近付いて来て。
「おいっ!! 包帯男は、一緒に居るかっ?!!」
と。
ポリアとマルヴェリータの前に来た二人は、雨具を着た姿ながら。 全身ずぶ濡れで、かなり焦った様子を見せる。 また、遣いの二人の顔は、今にも怒鳴りそうな程に厳しい表情をしていた。
そんな様子に、ポリア達二人が驚いて。
「えぇ・・、上で寝てるわ」
と、言うのが精一杯のポリア。
マルヴェリータは、グラス片手に。
「どうしたの?」
其処へ、トイレに行っていたイルガも戻り。
「斡旋所の働き手か。 こんな雨の夜更けに、なんか在ったのか?」
と、続く。
バンダナを巻いている使いの男は、案内して来た従業員に向かって。
「おいっ、包帯男の泊まる部屋を教えてくれ」
と、勢い良く迫った。
従業員の片腕に掴み掛かった様子からして、かなり焦っている。
遣いの男二人は、従業員に従ってロビーで待つとし。 ポリアへは、何も語らずのままに。 一旦、受付の方に戻って行く。
だが、受付やロビーの在る方へ行く途中で、階段を上がって行く従業員を、立ち止まって目で追った。
慌ただしい登場をした二人の男性に、ポリア達は意味が解らない。
「何よ・・・。 説明なし?」
不満げに言ったポリア。
カクテルの入ったグラスに口付け、優雅に傾けたマルヴェリータは、
「ポリア、一緒に行く?」
と、問うた。
「ん~~、ケイ次第・・・じゃない?」
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