ポリアの意見には、マルヴェリータやイルガも、直ぐに納得する。
一方で。
まだ、食堂の方にも、数名の遅く来た客が食事をしていて。 慌しい様子を醸したこっちを、チラチラと見て来る。
ポリアとマルヴェリータの美貌で、その見られる間が伸びたのは、仕方ない事だろうが…。
さて、従業員がKを呼びに行ってから、少しして。
「おいおい、寝てるのに何事だ?」
と、包帯を顔に巻く男が現れた。
黒く襟の高いコートに、黒皮のズボン姿で現れたK。 髪は、やや前髪が長く。 眼、鼻、口、耳以外は、包帯で隠された顔。 一目で、怪しき人物のように見える。
然し、冒険者としての知識・剣や武術の腕前・経験の幅広さは底なしで。 ポリア達も、Kの力量を把握などし切れない。
そんな、不思議な男のKだが…。
Kをバーの前で待たせ、従業員は使いの男達を呼びに行く。
眠たそうにしていたKだが。 斡旋所の働き手が来るなり、Kに近づいて耳打ちをする。
Kは、ずっと自分を見ているポリアを、此処で見返した。
Kの目つきが変わったと、其処で見知ったポリアは。
「行くの?」
と。
Kは、使いの男達を見てから。
「どうやら、マズイ事態らしいな。 行った方がいい」
「私達は?」
期待無しに、一応は聴いてみる。
だが…。
「いや、今夜はいい。 それより、明日は斡旋所で、俺をチームから外しておいてくれ」
ポリアは、期待が外れたと察して、頷くのみ。 流石に、この状況から無理矢理に、
“まだ、私がリーダーなんだから、話を聴く権利ぐらい在るわ”
なんて言うのは出来ない。
さて、Kが来てくれると為った事で。 斡旋所からの遣いの二人は、厳しかった表情が幾らか解れた様で。
「お願いします」
と、Kに頭を下げる。
だが、K本人は、やはり覚めた雰囲気のままで。
「ま、全てを判断するのは、話しを聞いてからだ。 行こう」
と、二人の男達を動かす。
Kを連れ立って、使いの男は外に出た。
それを見届けたポリアは、ちょっとふてくされた表情から、ワイングラスを持って。
「‘ケイにだけ用事’って訳ね。 今回の仕事に関しての事じゃ~無いみたい。 でも・・、話って何だろうね」
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