第二部:闇に消えた伝説が、今動く。

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マルヴェリータは、何故か黙っていた。 あの二人の遣いが現れた時から、どうも嫌な感じがしたのである。 その時、ポリアより席を二つ離した壁際にて。 睡魔に襲われていたシスティアナが、カウンターに凭れ込み。 つまみ皿を揺らして、ワイングラスを零しそうに成った。 「わ゛っ、シっ、システィっ」 驚いたポリアだが、どうやら‘寝落ち’た様子である。 ク~ピ~と、寝息を立てていたシスティアナ。 もう夜は遅いと思い。 ポリア達は、取った部屋に帰る事にした。 だが、その夜。 雨は、激しく降った時も有ったが。 遂にKは、宿へ戻って来なかった…。 そして、次の日の朝・・。 いや、昼が近い頃に起きたポリア達。 珍しく血色の良いマルヴェリータやシスティアナと、先に起きて待っていたイルガを含め。 お腹を満たそうと、一階の食堂へと降りて来れば…。 ‘愛想’と云うモノが、微塵も無い宿の主人がやって来て。 「オイ。 昨日に消えた包帯男の荷物は、一体どうするんだ? 背負いのバック一つだがよ。 今日中には、取りに来て欲しいんだがな」 その主人は、40過ぎの太った男だが。 どうも目つきはイヤミったらしく、言動までいい響きに聞こえない。 然し、この主人とポリアは、前に一度この宿を利用した時に、一悶着を起こしていた。 この主人は、云わば代理の主人。 雇われの身なのに、ポリアを初めて見た時に、一目惚れしたのだろう。 “今夜、一晩中仲良くするなら、宿代を割り引く” と、エラい熱量で絡まれた。 身体を売るポリアでも無いから、そこは潔癖の性質から怒声を張り上げての大ゲンカ。 その喧嘩は、この宿を含めた3つの質の違う宿を束ねる商人が収めた。 だが、その経験が在ってか。 一度、酷い口論をしたからと、向こうも随分な強気の言い方をする。 この宿の仮主人の起こす不手際は、それだけに留まらないが。 首をすげ替えないのには、何等かの理由が有るのだろう。 然し、起き抜けで言われたものだから、ポリアもムスっとしてしまった。 「あ、そう。 食事が終わったら、引き払う時に持って行くわよっ」 ぶっきら棒に、嫌悪感を混ぜて言ったポリア。
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