そう、冒険者と云う彼等も、また只の人なのだ。 この、〔冒険者〕という職業が世界に生まれてから、遥かなる悠久の月日が流れていた…。
然し、まだ彼等が今に在り続けるという事。 それは、
‘意味が有る’
と、云う事かもしれない。
また、冒険者と見られる人々を含めて、船から降りる者、船に乗り込む者様々。 幾多の者達が、〔船〕という足に身を委ね、旅を続けているのが、港を見ると解って来る。
さて、いよいよ物語を紡ぐべく、街の中に目を移そう。
この、マルタンの街の中心を、東西南北に貫くレンガを敷いた大通りは、この首都の大動脈だ。
日々、港に着いた物資が、国内外の交易都市に運ばれたり。 国内外の交易都市から来た物資を積み込む為。 都市の中を走る幅広い通りには、荷馬車が犇めいてる。
無論、街の中を網の目の様に走る通り、または脇道には。 荷馬車以上に、様々な人が動いている訳だが。
港から、街の中心を横断する大道路へ向かう道に、かなり太い道が在る。 レンガ舗装をされていて、日昼はひっきりなしに人馬が往来する場所なのだが。
その道から所々で左へ右へと枝分かれする別の大通りは、繁華街や宿屋街へ向かうべく、人々の往来が夜遅くまで激しくなる通りだった。
そんな街の各方面へ伸びる大通りの中でも。 西方の繁華街に向かう或る一本の大通りには、特に冒険者の姿が数多く見受けられ。 それも、一人だけと言う者から、数人単位で固まり行き来する。 その数人は、見る頃合いに因れば、一般の人や旅客よりも多い時が間々あるのだ。
そんな大通りを行く人々の中に、取り分けてちょっと人目を惹く、冒険者らしき二人が居た。
内一人は、うら若い麗人で在る。 白い肌は、肌理が細やかで、透き通っているかの様だし。 膝までスリットの入った白いスカートから覗ける素足の太股や脹ら脛は、真珠が体に成った様だ。 凛とした美顔に、細く切れ長い眉が、これまた切れ長の瞳に似合っていて。 特徴的な髪は、太陽に当たるとキラキラ光る白銀色。 額辺りと横の一部以外の長い髪を後ろに纏め、赤いリボンにて螺旋巻きに固定して一本とし。 女性にしては、背の高い方となる彼女の、実に膝元まで垂らして在った。
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