「お嬢様。 あれは、“グランディス・レイヴン”の一行ですな」
イルガと並んで彼等を見たポリアは、一つ頷き。
「そうね。 この国生まれのチームじゃ、現役一番のチーム…。 はぁ~、あの様子だと、もう次の仕事を請けたみたいね」
ポリアの呟きを聞いたイルガも。
「その様ですな。 海上に現れたモンスターを一日か二日で、全滅させたと云う話もまだ温かいのに。 また、難しい仕事でしょうか」
この、イルガの返しに。 ポリアは、羨望の眼差しを込めて、更に西側の道に行く彼等を見送りつつ。
「ハァ、いいわね~。 正に、実力の違いだわ」
溜め息混じりに云うポリアは、グランディス・レイヴンと云うチームを見送った。
一流冒険者に恥じない風采すら匂わせる、美男の赤い鎧を着た男。 リーダーらしき彼を先頭に、後を行く一団には。 白い、〔ローブ〕と云われる全身服に身を包む、清楚感溢れる女性だったり。 その一撃で、樹齢五十年は超えそうな大木すら斬り倒しそうな、大きい両刃の戦斧を背負う。 戦士風の大男が後に続いたりする。
だが、何時までも見て居れないと、ポリアが館に向きを変え。
「イルガ、行こッか」
と、言えば。
「はい、何の用事か。 主に聴きませぬと」
と、イルガは返した。
そして、この二人を含めて、マルタンの街に来た冒険者が集う館。 この斡旋所こそ、冒険者と云う職業を成り立たせる場所で在る。
【蒼海の天窓】
これが、このマルタンに在る館の呼び名で在る。
然し、冒険者達の間では、〔斡旋所〕と言えば、各国各都市のこうゆう場所を指すので在った。
さて此処で、斡旋所の事をもう少し分かり易く云うと…。
歴史の事を含めて、かなり古くから存在する斡旋所は、〔冒険者協力会〕なる組織が運営する。
その細部は、後々に語ろうが。 先ずは、冒険者が斡旋所にて、仕事を斡旋して貰う為には、幾つかの条件がある。
第1.二人以上の〔チーム〕を結成して、仕事を請け負うこと。
第2.仕事は、実力に合うチームへ、館の主人が選別して行うこと。
第3.モンスターなどの怪物や化け物以外に、武器や魔法の使用は極力避け。 悪党などと戦う場合に於いて、やむを得ない場合にしても。 周りの人、家などへの被害は、最小限に抑えること。
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