第一部:その男、伝説に消えた者

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など、他にも幾つか在る。 基本的に仕事とは、簡単な探し物から遺跡調査。 時には、役人からの依頼にて、刑事活動まで多種に亘る。 その為、伝説に語られる冒険者の話には、国難を救ったり、夥しい数のモンスターの討伐したり。 果てまたは、稀少な遺跡発掘や、剣豪伝など様々…。  その時代時代を生きる冒険者達は、そんな先人達の話に憧れたりして、有名になることを望んでいる訳だ。  此処だけではなく、世界の主要都市や大きい町には、館なり何なりの建物として、斡旋所が存在し。 また、冒険者達も腕に似合った仕事しか、請けられない。  更に、仕事の成果や仕事をこなした行動は、関わる人により情報として伝えられる。 嘘や作り事などをしても、直ぐにその殆ど全てが露呈する。 もし、そんな不正を働けば、二度と冒険者として生きて行けない、事後処理が襲って来る。 ま、その話は、後回しにして。 冒険者達は、仕事の果たし方や成果が反映して、より実力を試される仕事を得る。 その成功が素晴らしいなら、チームの名前を館の主に因って広めて貰える。 そう成るなら、世界を自由に渡り歩いても。 自分達を見知らぬ土地の斡旋所ですら、色々な仕事を請けられる事になり。 難易度の高い、然も高報酬な仕事を回して貰える訳だ。 さて、ポリア達は、1年半ほど前に集まり。 ‘ホールグラス’(砂時計)という名前で、チームを結成したが。 今の処は、何度も云う様に駆け出しのチームなワケで。 有名とは、お世辞にも言えない。 ま、リーダーをするポリアと、魔法を操る美女マルヴェリータの美貌が、‘絶世’と云う事だけで、ちょっと有名度が在るぐらいだ。 館の入り口に向かうポリアは、 「イルガ、中に入ろう」 と、言えば。 「はい。 お嬢様、良い話だといいですな」 と、返されて。 「だね」 と、困り笑顔を作った。 黒くガッシリとした館の扉に近付くイルガは、ポリアより先に扉を開いて、中に。 すると、 “リーーン” と、呼び鈴が涼やかな音色を発した。 中に入ると、館の面前である高台通りに面した壁側は、殆どが透明なガラス窓で。 外からの日差しが、館の中に入って明るい。
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