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激しい電撃音が鳴り響く。
「あ~ん? なんだこりゃあ」
ギアス=ギアが繰り出した槍の一突きは電光に似た光に遮られ、対象に届かない。
見たところ下級の魔族にも及ばない存在力と、中級魔族程度の体術しか持たないこれ……、
(人間だぁ?)
何故、人界の生物がここに、しかも大量に溢れているのか?
そして、何故、ギアス=ギアが作り上げた魔界最強のはずの軍隊が、この弱々しい小虫の群れに蹂躙されているのか?
彼の王には理解できなかったのだが……、
「成る程な……理解した。まさか、対魔装甲とは、恐れ入る」
そう言うと、己の槍を一撫で、見る間に槍の回りに瘴気があふれ、三メートルばかりの巨大なランスに姿を変える。
「ふっ、いくら武器をでかくしたところで、無駄というのが解らんのか……流石、愚かな悪魔風情よ」
蔑み、試して見ろと言わんばかりに進み出る銀の騎士、
「へっ、過信しやがるか! 馬鹿がっ、魔界の王を……舐めるなあぁっ!!」
ランスの一突きに、先程と同じ電撃音。
一瞬、先程と同じ光景が見え……しかし現実に結果として起こったことは……、
電撃音と同時に起こる、耳をつんざく金属音!
そして、魔族には決して傷付けられぬはずの……少なくとも、今まで、いかなる魔族の攻撃も……魔法ですら通す事のなかった聖なる鎧の背から、魔族の巨大なランスが突き出ていたのだ!
周りの人界の騎士達は、その信じられない光景に、我が目を疑い一瞬息を飲む、
その一瞬はしかし、魔界の王ギアス=ギアにとっては、まさに無限の如き隙である。
更に大きさを増したランスは今や五メートルは越えていよう!
一瞬、あの電撃音と金属音が重なり……、
気が付けば、まるでバーベキューの串の如く六人の騎士が刺し貫かれていた。
ランスを横に振り抜き、王の前に立った哀れな小虫を振り払い、
「クククッ……覚悟の暇も与えぬぞ……テメェラ皆殺しだぁぁぁぁっ!!」
吠えて、再び地を駆けて、
電撃音と……、
しかし、先程とは違う……重い金属音。
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