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~魔王宮最下層~
魔将の間から更に奥深く、黒から白にその色を変えた鉱石は、まるでそれ自体が光を発しているかのように淡い光を宿している。
(まったく、この感覚はいつ来ても慣れんものだ……)
ダレスの思うのとほぼ同時に、ギアス=ギアの声が漏れる。
「何度来ても落ち着かんなぁ」
ギアス=ギアにしては珍しい、小さな呟きであったが……。
魔王の間に続く白銀の両開き扉は、彼等を拒絶するかのように周りの光を映し込み、この障気溢れる魔界の内でまるで此処だけは神聖な場所であると主張しているかの如き温かみすら感じさせていた。
「落ち着いたら如何です? 貴方達二人ではこの扉を開けることは出来ないでしょう?」
もはや、呆れ果てたかのようなノルディアースの問い掛けに、
「ならば、力を貸せ……俺とて流石に母上に会うのに力尽くとは……些か決まりも悪かろうよ」
と、ダレス。
本来、いかな門の王である四方位の王とはいえ、勝手に魔王宮をうろつくことは許されない。
ノルディアースはこの一万周期に蓄えた、全ての知識を理屈に変えて、説得を試みたが、結局最下層まで、彼等の意思を変えることは出来なかった。
四方位の王の一人、ギ=ヌレグスは一応ついて来てはいる、がしかし、やはり事の顛末には全く興味が無いらしく、今だ一言も発していない。
魔王の間に続く扉、四人の王の魔力を合わせなければ、基本的に開けることはできない、しかし、この二人、多分母上からの魔力供給が無限なのをいいことに無理矢理開けるだろう。
歴代の四方位の王の中においても最大の力を有するに至った彼等ならば……。
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