魔界

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元来、魔族にはそれぞれの特殊能力があり、四方位の王ともなれば、それは、運命すらも動かす事が出来るという。 ダレスは、それが有機物、無機物に問わず、完全再生する能力を持つ。 先にも説明したが、本来魔族は滅びない。 しかし稀に、余りに実力差がある相手の攻撃を受けたり、自分の実力以上の力を使い過ぎて、存在力ではなく存在核を傷つける者がいる。 その場合、存在核は決して治ることはなく、完全なる滅びへ向かうのだが、ダレスはそれすらも再生させるという。 ギアス=ギアは一度行なった事象を再現する、いや、全く同じ瞬間に行なっていたと言った方がよいか? かわしたはずの攻撃が少しずらした空間にも発生し、当たる、または当たった攻撃が同時、同ヵ所に当たっている等、彼の思考より早く結果が変わるのだから、まさに事象を動かす能力である。 「さて、どうしたものか……」 思案するノルディアース。 やはり、関心の無いギ=ヌレグス。 今、まさにギアス=ギアが己の分身たるランスを具現させ、ダレスがその拳を固めたとき、彼等四方位の王に衝撃が走る。 まるで、世界の全てを包み込む、安らぎすら感じる夜闇のような女性の声が流れる。 「お入りなさい、私の可愛い息子達」 「「母上!!」」 扉が音も無く、開かれていく。 会うのは一体何周期ぶりだろう? 皆、ついそんな事を考えていた。
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