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「私は、ん? 何よ?」
そんな美桜に蚊帳の外だったジャージ男が、申し訳無さそうな顔で美桜の背後から肩をトントン、とノックする。
「あ、あの美桜ちゃん? ぼ、僕の事忘れてない?」
そう言ってジャージ男は苦笑いのまま自分を指差してみせた。
「あ……ごめん、忘れてた」
と、バッサリ斬り切り捨てる美桜。
舌をチロリとだして頭を人差し指でポリポリと掻く。
そしてその場にうずくまり泣き崩れるジャージ男。
最早、事態は収拾のつかない方向へ。
「ていうかあんたも何なのその格好、若い男が朝っぱらからジャージ姿でこんなとこうろついて恥ずかしくないの? だいたい何そのジャージ、どこのよ?」
「ぐすっ……え? あ、いやこれは近くのデパートのセールで買ったやつで……あ、アデダスっていうメーカー、」
ジャージ男は美桜に言われ、俯き縮こまりながらも返答する。
先程の威勢はどこへやら。
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