-姉の教え其の一、男は女を守れ!-

36/56
前へ
/394ページ
次へ
「私は、ん? 何よ?」 そんな美桜に蚊帳の外だったジャージ男が、申し訳無さそうな顔で美桜の背後から肩をトントン、とノックする。 「あ、あの美桜ちゃん? ぼ、僕の事忘れてない?」 そう言ってジャージ男は苦笑いのまま自分を指差してみせた。 「あ……ごめん、忘れてた」 と、バッサリ斬り切り捨てる美桜。 舌をチロリとだして頭を人差し指でポリポリと掻く。 そしてその場にうずくまり泣き崩れるジャージ男。 最早、事態は収拾のつかない方向へ。 「ていうかあんたも何なのその格好、若い男が朝っぱらからジャージ姿でこんなとこうろついて恥ずかしくないの? だいたい何そのジャージ、どこのよ?」 「ぐすっ……え? あ、いやこれは近くのデパートのセールで買ったやつで……あ、アデダスっていうメーカー、」 ジャージ男は美桜に言われ、俯き縮こまりながらも返答する。 先程の威勢はどこへやら。
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1095人が本棚に入れています
本棚に追加