-姉の教え其の一、男は女を守れ!-

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「なっ! 何逃げてっ……って、あれ……?」 突如、美桜の顔色が一変し、口振りが先ほどの勢いとは逆に弱々しくなってゆく。 司郎もすぐさまその異変に気づいた。 美桜の背中に、冷たく尖ったものが押し当てられていたのだ。 そう、ナイフだ。 さきほど司郎に弾き飛ばされたのを、どさくさに紛れてジャージ男が拾いなおしたのだろう。 「ええっと、さっきのはなし! って……ダメ?」 美桜は引きつった笑みを浮かべなががら、両手の人差し指を掛け合わせて小さくバツを作る。 だがジャージ男は静かにゆっくりと首を横に二回振って見せた、そして重苦しい口を開く。 「もういい……お前なんかと一緒に逝くもんか! その変わり、お前もミカン男も一緒に殺してやる!!」 ジャージ男の目には怒りを通り越し、もはや明確な殺意の光が宿っていた。 こうなるともう何を言っても無駄だ。 背中越しに男からの殺意が、司郎にまでひしひしと伝わってくる。
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