-姉の教え其の一、男は女を守れ!-

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同時に恐ろしい程の速さで身をかがめると、そこから繰り出す閃光のような司郎の左掌底。 しかし、掌底は男にではなく、美桜の真正面から心臓付近に放たれたのだ。 「きゃあっ!? えっ……?」 突然の事に小さく悲鳴を上げる美桜、しかし掌は美桜に直撃する瞬間、寸前で胸に軽く触れる程度で止まった。 呆気に取られていた男が、我に気付いたようにはっとする。 握っていたナイフに力を込め、殺意の衝動と共に美桜の背中から心臓を突き上げた、はずだった、 男の意思とは反対に、手が動かない。 正確には肘から下が痺れるようにまったく動かない。 そして突如、 ビシッ、という鈍くひび割れるような音。 信じられない事に、男が握っていたナイフにひびが入り、音を立てて砕け散ってしまったのである。
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