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「澪、何やってんだ?」
返事をしない澪。 もとい聞こえてもいない。
聞くだけ無駄かと言いたげに、忍は澪の側までつかつかと歩いて行くと、ふと澪が指を添えている窓ガラスを見た。
司郎、司郎、司郎、司郎、窓を埋め尽くさんとする司郎という文字。
しかも最初に書いたものは水が垂れてきて字がぐだぐだになっている。
軽くホラーだ。
BGMはヒッチコックといったところか。
「てい」
という忍の掛け声、同時に鈍い音。
肘鉄が澪の延髄に深々と突き刺さる。
「つっ……! だ、誰、何だ忍か」
角度、スピード共にジャストに入ったであろう肘撃、だが当てられた当の本人は意外と効いていない様子。
後ろにいる志穂と正宗は見慣れたとはいえ、口を開けてポカーンとしている。
普通延髄に叩き込む友人と、それでケロッとしている人間もそうはいない。
決して見慣れてはいけない光景だ。
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