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「……」
コトリ、と陶器の鳴る音。
テーブルの上に湯気を立てるマグカップが一つ。 すぐ横におぼんを傍らに抱えた冬音が忍に無言のまま一礼する。
「お、さんきゅ、冬音」
忍は冬音にお礼を述べながらそのまま生徒会長、と書かれたネームプレートの置いてある机に腰を掛けた。
「で、朝からなんの悪戯だ?」
忍は呆れ顔でそう言うと、冬音の入れてくれた珈琲を口に運ぶ。
「悪戯? 失敬な。 これは悪戯など低級なものじゃない。 私の溢れださんばかりの思いの丈をだな」
と力説する澪。 文字の溶け具合は更に加速して、もはや完全に病み光景とかしている。
「朝っぱらから弟君ラブなのは良く分かった。 だからさっさと仕事しろ」
「やっぱり、会長黙ってたら美人だよね」
再度リボンを結び直しながら、軽快な声で話す志穂。
正宗はさすがに何も言えず黙ったままだ。
代わりに答えるように、冬音が軽く頷く。
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