1095人が本棚に入れています
本棚に追加
「行ってらっしゃーい、」
生徒会室を出て行こうとする正宗に、志穂は笑顔で手を振りながらお見送り。
「お前も来るんだ!」
「ええっ!? 今からが良いとこなのに、」
食い下がりながらも、政宗に引きずられ廊下に連れ出されてしまった。
そんな志穂達を、相も変わらず無表情な顔で見ていた冬音も、ゆらりと席を立ち上がり、今にも澪に押し倒されそうになっている忍を見ると、
「……」
と何かを呟きながら軽く一礼。
勿論何を言っているかはさっぱりなのだが、それを廊下から見ていた志穂がうんうん、と頷き、
「冬音ちゃんが 『一時間くらい、この部屋に誰も入らないよう手はずしておきます』 って」
などと有り難くもない明快な声で告げてから、そのまま冬音を連れて部屋を出てゆく。
「ちょっ! 待て! なんだそのリアルな数字は!? ちょっコラ離せ澪、だ、誰かぁぁ!」
まるで蜘蛛の巣に絡め取られたような忍、悲痛な叫び声もただただ虚しく響くだけであった。
最初のコメントを投稿しよう!