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そんな生徒会室の壁を挟んだ廊下に、これまた幸の薄そうな青年が一人、
「はぁ……まいった。 まさかあの後パトカーにまで追いかけられるなんて」
司郎である。
勿論ミカンの紙袋は着脱済みだが、そのあどけない顔は疲労困憊といった様子だ。
それもそのはず、逃げ続ける司郎に業を煮やした警官が、国家権力の元、パトカーを二台も使って追跡する始末。
なんとか逃げきったものの、朝からのドタバタで満身創痍の司郎であった。
そんな司郎がやってきたのはここ生徒会室。
うっかり者の生徒会長、宮本 澪こと司郎の姉は、急いでいた為か、静の作ってくれた弁当を忘れていってしまっていた。
そのためわざわざ生徒会室にいるはずであろう姉の本に馳せ参じたというわけだ。
「お弁当大丈夫かな?」
心配そうに風呂敷袋に包んだ弁当箱を見ながら、ドアに手を掛けスライドさせる、
「姉さんいます……か…………部屋間違えました失礼します!」
「ちょ、待っ、」
微かに聞こえた忍ぶの声だが、その声を掻き消すように、ドアが壊れんばかりの音を立てながら閉じた。
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