1095人が本棚に入れています
本棚に追加
あわや司郎は窒息寸前、だがその直後、澪の動きがピタリ、と止まった。
そして突然鼻をクンクンと鳴らしながら司郎の制服を嗅ぎ始める。
「ぷはぁっ! な、何?」
澪の抱擁から何とか抜け出す司郎、しかしどうも澪の様子がおかしい。
「司郎から私以外の女の匂いがする……」
と、半分座った目で司郎をじろり。
蛇に睨まれた蛙と言おうか、司郎は澪のその一言で顔面蒼白のまま、凍り付けにされたように固まってしまった。
美桜だ、おそらく今朝の一件の事だと司郎はすぐに察した。
ちなみに宮本家は恋愛禁止、特に女性とは親しくしてはならないという厳しい掟がある。 勿論発案者は澪。
すると、何やら雲行きか怪しい状況の中、司郎達の背後に手負いの虎こと、忍の姿が、
積もった本をバラバラと振り落としながら、のろりと立ち上がり、両の拳をわなわなと震わせている。
背後に殺気じみた闘気を漂わせながら、忍は大きく口を開いた、
「この、変態姉弟がー!!」
レスリング部部長、高校生ながらにして既に、世界ではメダル候補とされている忍の怒り爆発。
地を思いっ切り蹴ってジャンプ。
澪の後頭部目掛けてドロップキックだ。
「甘いな忍!」
澪はジャストなタイミングでしゃがんで回避。
澪の頭部スレスレに、轟音と共に忍の両足がすり抜けていく、そこへ立ち尽くす司郎、
「えっ?」
揃えた両足の上靴が、司郎の顔面にめり込むようにクリーンヒット。
「ぐえっ! ぐおっ! ぶっ!!」
そのまま司郎は吹っ飛びながら壁に激突。 反動で一回転二回転、 止まった。
最初のコメントを投稿しよう!