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生徒会室手前でのドタバタ騒ぎから、時間にして約一時間後、何とか臨死状態から無理やり澪に叩き起こされた司郎は、奇跡の生還を果たし、幸いにもここ、北鳳学園の総合体育館にて、朝の全校集会に参加する事ができた。
といっても顔面にはまだ薄く上靴の跡を残し、絆創膏だらけという、なんともまあ悲惨な状態ではあるのだが、姉の澪から、『お前にも聴かせたい事があるから這ってでも参加しろ』 と言われてしまい、今にも倒れそうな状態にも関わらず、こうして健気に姉の言い付けを守っている状況だ。
ちなみに現在ここ総合体育館には、全校集会の為、約二千人程の生徒達が集まっていた。
体育館奥にあるステージ壇上では、先ほどから校長と思わしき人物が眠りを誘うような演説を繰り返している。
「おい司郎? お前本当に大丈夫か……?」
集団のやや右中央付近、一年生達が並ぶ列に司郎はいた。 その後ろに並ぶ背の高い男子生徒が、満身創痍の司郎を心配して気づかっている最中だ。
「直道君……うん、大丈夫、視界が少しぼやける程度だから……」
フラフラと、血の気の引いた司郎がそう答えた。
「いや、それは大丈夫って言わないだろ……」
直道 (なおみち) と呼ばれた青年が至極まともな意見を述べた。
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