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太陽の明かりが部屋に一つしかない窓から、気持ちよさそうに寝ている少女の顔にサンサンと降り注ぐ。
少女はむっと顔をしかめて寝苦しそうに数回寝返りをうち、のそっと少女は起き上がった。
「何時?」
ぼさぼさの髪をかきあげ、のびを一つ。窓から見える太陽は、お空の真上に位置していた。
「ほぇ?寝過ぎたかなぁ…。」
焦点の定まらない視界を周囲に巡らし時計を探す。が、いつもあるはずの場所に、時計がない…。
「あ、あれ?おっかしいな時計は?」
ベットに正座したまま、少女は部屋中を見渡す。
家具はベッドと机と本棚とクローゼットしかない質素な部屋。だが、床には本棚から追い出され、行き場を失った本が山のように積んである。
「8時45分…。また壊したね。」
困っている少女の後ろから、男の子の声。びくりと肩を揺らした少女は、恐る恐る振り返ってみた。
そこにはバネが飛び出て8時45分で止まってしまった壊れた時計を床から拾い上げた少年が1人。
「もう12時過ぎてるぞ。」
肩まで伸ばした金髪を一つに結び、Tシャツに短パンとラフな姿の少年。
蒼い瞳が「馬鹿だこいつ」と物語っている。
「壊したの何個目だよ?」
「43個目!!」
胸を張って答えた少女の頭を少年はポカっと叩いた。
「お前は~寝起き悪すぎなの。毎日毎日時計を壊してるようじゃ、いつか破産するぞ!第一、寝起きで壁に時計を投げつける女がどこの世界にいるんだよ!」
「むぅ~。だって…」
「ここにいます」と答えられず、むすっと頬を膨らまし、少女は言い訳をしようとした。
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