第一章 始まりの歌

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太陽の明かりが部屋に一つしかない窓から、気持ちよさそうに寝ている少女の顔にサンサンと降り注ぐ。 少女はむっと顔をしかめて寝苦しそうに数回寝返りをうち、のそっと少女は起き上がった。 「何時?」 ぼさぼさの髪をかきあげ、のびを一つ。窓から見える太陽は、お空の真上に位置していた。 「ほぇ?寝過ぎたかなぁ…。」 焦点の定まらない視界を周囲に巡らし時計を探す。が、いつもあるはずの場所に、時計がない…。 「あ、あれ?おっかしいな時計は?」 ベットに正座したまま、少女は部屋中を見渡す。 家具はベッドと机と本棚とクローゼットしかない質素な部屋。だが、床には本棚から追い出され、行き場を失った本が山のように積んである。 「8時45分…。また壊したね。」 困っている少女の後ろから、男の子の声。びくりと肩を揺らした少女は、恐る恐る振り返ってみた。 そこにはバネが飛び出て8時45分で止まってしまった壊れた時計を床から拾い上げた少年が1人。 「もう12時過ぎてるぞ。」 肩まで伸ばした金髪を一つに結び、Tシャツに短パンとラフな姿の少年。 蒼い瞳が「馬鹿だこいつ」と物語っている。 「壊したの何個目だよ?」 「43個目!!」 胸を張って答えた少女の頭を少年はポカっと叩いた。 「お前は~寝起き悪すぎなの。毎日毎日時計を壊してるようじゃ、いつか破産するぞ!第一、寝起きで壁に時計を投げつける女がどこの世界にいるんだよ!」 「むぅ~。だって…」 「ここにいます」と答えられず、むすっと頬を膨らまし、少女は言い訳をしようとした。
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