【第一章】普通に終わらなかった木曜日

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   1  木曜日の曽根川ひかるはご機嫌だ。  もっとも苦手とする文系の授業が一つも無いうえ、好きな体育が四時限目にあるからだ。  空腹手前のちょうど良いところで体を動かすのが好き。腹が減りすぎてなく、ちょうど良い感じに消化された朝食のエネルギーを、全部体育の時間で消費する。冬まっただ中の最近では専ら体育館での器械体操が中心で、特に跳び箱がお気に入り。  そんな、体育座りをしてワクワクしながら飛ぶ順番を待っていると、担当の先生に、「次、曽根川」と、名前を呼ばれた。 「飛べ」  短く行って、ピッと短く笛を鳴らす。今年の春が教師歴一年目らしい角刈りに四角い顔の、上下とも青いジャージを着た新任のこの先生は、跳び箱を指さす。  ひかるは立ち上がり、スタンバイする。  十二段。  スポーツ派の男子は軽々と飛んでのけるが、そうでない生徒たちには、すこしハードルが高いようで飛べる数は半々くらいだ。そんな段を飛べるとは思ってないらしく、すでに持っているノートに目を落としている。
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