【第一章】普通に終わらなかった木曜日

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   2  四時限目の体育で程よく空腹が襲いかかる。他の生徒から言わせてみれば体育は三時限目くらいが良いと言うが、ひかるにとってはそうではない。三時限目に体育を持ってくると、次の時間は強い空腹と眠気にやられるらしい。  やはり四時限目がちょうど良いんだと、屋上で一緒に弁当を食べている女子生徒――天見愛流に、熱弁を奮っているひかる。  屋上には二人しかいない。この学校の屋上は本来、生徒は立ち入り禁止になっている。そんな屋上になぜ二人はいられるのかと言えば、愛流の横に無造作に置かれた鍵があるからだ。  愛流がずっと屋上に行ってみたいなぁなんて呟いていたものだから、誕生日のプレゼントとしてひかるが去年の春にプレゼントしたものだ。無論、職員室にあった鍵をひかるがちょろまかして来たものなのだが。その日から、二人は昼休みにこっそりと屋上に来ることが日課になっている。  ……そういえば、この屋上に来てからは色々な事があったと愛流はしみじみ思った。
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