prologue

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夜の美術館。 昼間こそ見学者で賑わう空間だが、夜半のそこは物音一つしない少々不気味な空間だった。 ディーンは内心ビクつきながら見回りをしていた。 靴の音だけが闇に響く。 彼はこの美術館の警備員だ。 とは言っても新しく配備されたばかりで、夜の見回りも初めてだった。 そんな彼が一人で見回る程度の警備で大丈夫なのか、とお思いかもしれないが、ご心配には及ばない。 ほぼ死角なく設置された無数のカメラによる24時間体制の監視、網のように張り巡らされた赤外線センサー、展示品に指一本触れようものなら一斉に鳴りだす警報機。 おまけに見回りの警備員は、同じところを順番に、一分と間を空けずに通るようにローテーションが組まれている。 つまりディーンは、ほんの数十秒前に先輩警備員が通ったルートを辿るように見回りをしているのである。
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