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「とは言ってもねぇ……」
ディーンは独りつぶやく。
どんなに科学が進歩しても、人間の闇に対する本能的な恐怖は克服されないのだ。
などとカッコつけて考えてみるが、要は彼はビビリなのだ。
「でもまぁ給料はいいしなぁ……」
葛藤しながら別の展示コーナーへと入った時、フロアの隅に動くものがあった。
「だっ、誰だっ!?」
慌てて懐中電灯を向けた先には、自分と同じ制服を着た男の姿があった。
見覚えはない。つまり今日のローテーションには組み込まれていないはずだ。
「おや、君は今日の警備ローテの人かな?驚かせてすまないね」
男は穏和な口調で言った。
「どうしたんですか?こんな時間に」
ディーンは僅かな疑いも込めて尋ねた。
「いやね、予告された品をすり替えに来たんだよ。いくらオーナーがああ言っても、流石にモノホンを出しとくのはどうかってことになってね」
「あぁ、なるほど」
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