連続強盗犯からお宝を強奪せよ!

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昼下がりの街は賑わうものだ。 ネクタイをぴっちり締めて商談に急ぐ若い男や、カフェで読書を楽しむマダム。実に色々な人がいる。 そう、色々な人がいる。 その男はジャックと呼ばれていた。 栗色の短髪に小柄な体躯、幼さが残る顔立ちに瞳だけが剣呑な光をたたえている。年齢は20歳前ほどだ。 彼はふらふらと通りを歩き、1人の紳士にぼすっとぶつかった。 「どこ見てんだ、オッサン!」 どう考えても非はジャックにあるのだが、関わり合いになりたくなかったのか、紳士は短く謝ると歩き去っていった。 「ケッ……」 ジャックは悪態をつくと、右手にある財布を弄んだ。 どう見ても、彼には分不相応な品である。 そう、 「ちょれぇもんだ……」 ……彼がスッたのだ。 賑わう街には、色々な人がいる。
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