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由紀は悲しそうに言った。
「俊輔、聞いちゃったの」
「何を聞いたの?」
遥奈は続きが気になって仕方がない。
由紀は息を吸い込んだ。
「俊輔は足と腕を骨折したんだけど腕はすんなり治ったんだ。だけど、足は難しい状態だったの。それでも俊輔はきっと治る、って信じてリハビリを続けた。でもリハビリが終わって病室に戻った時、俊輔の親に医師が話してたの、
『お子さんの足はリハビリを続けても元のようには走れない』ってね。
それから俊輔はリハビリを止めて、髪の毛も金に染めたんだ」
そんな過去があったなんて。でも関わらないとかそういうのは関係ないじゃん。
由紀は続けて話す。
「俊輔はケンカもたくさんやってきた。だからこそ、恨みをかってるの。だから傍にいると危ないから、関わるなって言ったんじゃない?そういう事が自分で分かってるから、突っ張ってるんだと思う」
本当は明るくて優しいのにね、とつけたして悲しそうに由紀は微笑んだ。
そんなとき昼休みは終わりを告げた。
席に着き俊輔の顔を遥奈は見つめた。
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