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「涼君~♪」
涼が歩いて来た道とは別の道の向こう側から、髪の長い少女が走って来た。
「おう。おはよう美姫。」
彼女の名前は春風 美姫。
涼と同じ桜花高校に通う、二年生だ。
涼とは小学校から一緒にいて、今は同じクラスのクラス委員長をしている。
性格は真面目で、様相の良い彼女は、クラスでも一目置かれる存在だ。
「おはよう♪今日も走って来たの?」
美姫は、涼の隣を歩きながら、汗をかいた涼の顔を見て訪ねた。
「ああ。起きたら時間ギリギリだったからな。」
疲れた顔で涼が答えると、美姫は、呆れ果てた顔で涼に聞いた。
「もしかして、また時計壊して二度寝?」
毎日一緒に登校している美姫は、涼の遅刻の原因も知っていた。
「うぅん…でも、いつ壊したかは、記憶に無いんだよなぁ…」
涼は頭を掻きながら、必死に朝の事を思い出そうとしていた。
「そんな人、普通はいないよ涼くん…」
美姫は、ため息混じりに呟いた。
「それが、ここに一人いるんだな!」
そんな美姫の隣で、涼は胸を張って威張って言った。
「威張って言う事じゃないでしょう。」
美姫は、益々、呆れた声で言う。
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