プロローグ

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「よし、そのままこっちへ来るんだ。おかしな真似をしたら、殺しても構わないと許可も出ている。できれば俺も、お前相手に手荒な真似はしたくない。」 男はルナを説得しようと試みる。 するとルナは目を開き、挙げていた手を下ろす。 その手を腰に当て、不満気な顔で男に話し掛けた。 「心にも無い事をよく言うわね、ガウディ大佐。その割りに貴方の右腕は、剣を振るいたくてウズウズしているようだけど?」 ルナは男をガウディと呼んだ。 どうやら、二人は知った仲の様だ。 ガウディは背中に背負った大剣を握り締め、いつでも切り掛かれる体勢を取っていた。 「ははは!そんな訳は無いだろう。この俺が、可愛い愛弟子に刃を向けるとでもいうのか?」 ルナに指摘されると、ガウディは笑いながら剣から手を離し、両手を上に挙げた。 「どうかしら。訳も分からず監禁され、実の師に追われる嵌めになったのに、どうやって信用しろと言うのかしら?」 ルナは再びガウディを睨み付けて言った。 「どちらにしても、この部屋の出口は塞いだ。もう逃げ場はない。だから、大人しくこっちへ来るんだ。」 そう言って、ガウディは手を差し伸べた。
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