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男は家に帰ってきた。男には一つ年上の妻と三つになる娘がいた。
『おおい!お妙、帰って来たぞ~』
『あら、あんた随分早いじゃ………どうしたん!?その子…』
『農道に捨てられてたんじゃ。こんなにも可愛い子を…酷い事をする親もいたもんだ』
『あんた…まさかその子…家で?』
『そのつもりだが?…まぁ咲に弟が出来たと思えば』
『駄目だよ!』
『な、何だって?』
『何言ってんだいきなり!うちにはねぇ、余裕がないんだよ!子供は咲で精一杯なんだ!だけぇその子は育てれん!………可哀想だけど…戻してきんさい…』
『……………!!』
男は農道に戻ってきた。籠の中に赤ん坊を入れ、置いてあった場所に籠を戻した。
『…犬や猫じゃないんだぞ…。すまん…!すまん…!……何でお前は泣かないんじゃ?…不思議な子だ…』
男は大人しい赤ん坊を見下ろし、そのまま何分か過ぎた。その時、どこからか自分を呼ぶ声がした。
『おお~い!一ノ瀬ぇ!どこじゃあ!』
『ん?』
『団や!どこにおる!?』
『おお~い!わしはここにおるで!』
『おお!団、大変なんじゃ!』
『どうしたんじゃ』
『今、石見村にお侍が来て女を拐って行っとる!』
『なんじゃそりゃあ!お妙は!?』
『…連れてかれた…!』
『!!……咲は!?あいつはまだ三つだし、連れてかれてないじゃろう!?』
『……団よ…酷い話じゃが…』
『…そんな…なしてじゃ…なして三つの子を連れてくんじゃ!!』
『おい!団!村は危ないぞ!』
団は村に走る…。
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