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団は籠に近づき赤ん坊を持ち上げた。
『お前…何で泣かないんじゃ…!泣かんと死ぬぞ!泣かんと誰もお前の存在に気付かん!腹も減っておるじゃろ!けど…もう村に乳が出る女がおらんのじゃ…すまん…お前を育てる事が出来ん…!』
団は赤ん坊の眼を見れなかった。何の曇りもない、綺麗な眼を。
『あー!あうー!』
『お!』
『やー、ああひゃ!』
『はは、初めて笑うたなぁ。笑うたらもっと可愛いのう!…………決めた。お前を死なせはせん…。わしが育てる…。よしよし!まず名前を決めなければのう!』
団は赤ん坊をあやしながら家に帰った。
翌日
『団…!その子は…!』
『ああ、昨日農道で授かった。わしが育てよう思うてな…』
『育てるゆうたけて…乳は?乳はどうするんじゃ!』
『となり村まで行くしかないかのう…』
『簡単に言うのうお前は…』
『…決めたんじゃ…。わしが立派に育てるってな…』
『そうか…。それにしても可愛い顔しとるなぁその子、女の子じゃな?』
『それがのう…男なんじゃこれが…』
『何!男かそいつ!あっはっは!女に生まれればよかったのに、その顔は不憫なもんだのう!』
『よし…。となり村まで行ってくる。乳を貰わねば…』
『うむ…。その子ならいっぱい乳が貰えようで!気をつけてな』
団は赤ん坊を抱いてとなり村に出掛けた。
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