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俺の抵抗虚しく
署に連れて行かれた
入った部屋には
一つの机と
向かいに置かれている
二つのいす
俺はここで何を…
何を聞かれる?
やってないといえば
大丈夫だ
そう思っていたのに
「そちらに腰かけて」
警察が言う
俺は返事もせず腰かけた
「さ、ちょっと聞きたいことがあるんだが」
「なんですか」
俺は緊張していた
やってないのに
全身が震えた
そんな俺を深刻な目で見る警察
きっと疑われている
「武さんを殺したのは君じゃないか?」
「ちょ…待ってくださいよ…勘弁してくださいよ…俺はそんなこと」
「ではあたるさんは、君じゃないか?」
「…違います」
「………では充さんは」
「証拠あるんですか!!」
俺の中の何かが切れた
もう何を言われてもいい
証拠がなければ疑いも晴れるそう思った
「えぇ、武さんの自宅で君の名前が掘られた時計が死体の横に落ちていた。きっと落として気付いていなかったのだろう」
「聞いてください」
俺は言った
でも警察は聞かない
話を続ける
「そしてあたるさんの家では君が今着ているスーツのボタンが一つ落ちていた。ほら、そこ付いていないだろ?」
「本当、聞いてください」
それもまた無視
「あと、充さんの家には君の名札が落ちていた」
警察の話が終わった
やっと俺が話すばんがきた
「違うんです。武さんの家に俺の時計が落ちていたのは…飲み会の時に武さんの家にお世話になって忘れていったんです。そしてあたるさんの件は、あたるさんが熱出してたとき、お見舞いに行ってその時ボタンをタンスにひっかけて取れたんです。そして充さんの家に名札が落ちていたのは、1人名札二枚もっていて、初めて話した時に名刺がなかったから名札を渡していたんです」
俺は全て本当の事を言った
嘘は一つもない
警察がまた口を開く
「でも、武さんの奥さんに聞いたが君は一回も来てないと言っていた。あたるさんの母親もきみはきてないと言った。充さんの件は名札を渡すなんておかしくないか?」
うそだ
警察が全て嘘ついている
武さんの奥さんがそんなに記憶悪いわけがない
あたるさんの母親はあのとき留守だった
充さんは…本当に名刺がなかったんだ
むちゃくちゃだ
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