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「忘れ物ってなぁに」
「鍵と薬っ」
「もしかして、今日は泊まり?」
開け放されたドアからは、青白い明かりが漏れる。ネムの部屋は、青を基調とした海底のような部屋で、私は彼女の部屋が好きだった。
「泊まらない、リセがいるのにお泊まりなんかしないって、何度も言ってるじゃない」
泊めるのはいいんだ、なんて、思ったけれど口には出さない。
「でも、行くのはホテルでしょ?」
「リセ、妬いてるの?」
くすくすと、ネムは笑う。可愛くって、憎らしくなる。
「違うわよ」
「一緒に、来る?」
「早く行かなくていいの?」
誰かに抱かれるネムなんて見ていて気持ちの良いものじゃあない。私は彼女を急かすと、視線をずらした。
いつの間にか、日は暮れていて、辺りはすっかり真っ暗だ。本当に、日は長くなっていってるのだろうか。
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