クラゲ

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海月、そうだ、私は昔っから海月が好きだった。身体を起こすと、ソファに座る。 幼い頃、母親に連れて行って貰った水族館で、初めて海月を見た。円筒形の水槽に揺れるゼリー体。半透明のそれは、ぐにゃりぐにゃりとフレキシブルに形を変えながら、ライトに照らされ、薄く光り、私はただそれに見入っていた。 同い年の妹が子供らしくイルカショーに夢中になっている間、私は頑なにその水槽の前を離れようとしなかったそうだ。 どうしても海月が飼いたかった。妹が犬や猫を飼いたがっている隣で、私は海月を飼いたがる。 母親は、その異常なまでの海月に対する執着心を忌み嫌っていた。
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