詫び入れに行く。

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
中学一年生の文化祭が近いある日、文化祭に展示する大きなステンドグラスを各クラスごとに作っていた。 私はケンカ仲間の安田とふたりで、セロハンを切っては貼り切っては貼りしていた。彼は情報収集担当でケンカはしない。おだやかな人だった。 ケンカ担当の阿倍野がどこからともなく現れて、 「あれ?あいつらどこ行ったん?藤木ら。」 「あー、あいつら?あいつら2年に殴り込みに行ったで。」 安田がゆっくりセロハンを切りながら答えた。 「なに!?俺らには一言もなく勝手に行ったんか!?」 「うちのグループを抜けてるからねぇ。 まあ、かばんを置いて行ってるから、そのうち帰ってくるよ。 それよりさぁ、ステンドグラス手伝ってくれん?これ進行が遅れとるんよ。」 「…ああ。」 阿倍野は面白くなさそうに、手伝ってくれた。 しばらく3人でセロハンを切って貼り付けていた。そこへ藤木率いる男4人組がどどどっと帰ってきた。 「あ!お前ら何勝手に行きよるんや!俺らなんかさっきからセロハン切って貼るなんて、地味な作業しよるゆうのに!」 「まぁ、怒るなや。お前、セロハンの話どころじゃないで。俺らの話聞いてくれや。」 「言えや。」 「2年、ボコボコにしてやった!」 私は間伐入れず、大声を出した。 「あんた、エライ!!あんたよくやった!!あんたも男が上がった!!」 それまでさんざん2年にいやがらせをされてきた私の正直な思いだった。 「いやぁ。」 彼もまんざらでもない顔をして、ケンカの様子を話してくれた。 「でさぁ、2年の誰をやったん?」 私は聞いた。 「へ?じゃけえ、あいつ。2年のボス。○○。」 「…、あの、一応聞くけど、その人、暴走族と仲いいの知っとる?」 「え!?知らん!」 「今年の卒業生で、組に入っとる人がおるんじゃけど、その人と仲いいの知っとる?」 「知らん、知らん!!」
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!