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「立ち去り際、何か言ってなかった?」
「今週中にお礼に来る言よったよの。」
藤木の仲間が藤木に向かって言った。
「今週って、明日とあさってしかないじゃないか。」
しばし、集まってきた私の仲間は沈黙した。
「暴走族のお礼参りって、鉄パイプでボコボコにされるんじゃろう?」
「死ぬよなぁ。」
殴り込みに行くとは一言も声をかけられなかった男たちが、口々にしゃべり始めた。
「あーあ、短い一生だったのぉ。」
「そ、そんな、暴走族が出てくるなんて、わからんじゃねぇか。」
絵がうまい立田が、
「やるよ。だって、あいつら土曜日の夜に(バイクで)走ることしか仕事ねえもん。暇つぶしにお前らコロシに来ることぐらいするで。」
「……。」
「明日は広島湾に沈むんかぁ。」
「いや、山に埋められるかもしれんで。」
「葬式ぐらい行ってやるで。」
もう言いたい放題である。
藤木軍団が半泣きになった。
みんなが言いたいことを言った後、私の顔を見た。
「私、3年生に相談に行ってくる。」
「じゃあ、俺らも行く。」
「いいよ。みきさんと話すだけだから。」
しゃべりながら、私は制服の上着を着て首のリボンを整えた。3年生に失礼なことはできない。
3年生のフロアーに行くと、幸いみきさんとお友達のまゆさんは、すぐ見つかった。
「先輩、すみません…。」
事の次第を話すと、
「それは相手が悪かったねぇ。あたしから言っといてあげようか?ウチのお姉ちゃん、この前まで、族に入っとったし。」
「いやぁ、いいですよ。先輩、受験近いですし。
詫び入れに行きますよ。
あーあ、私もヤキが回りましたよ。
あ、相談に乗って下さってありがとうございました。」
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