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「先生…?」
かなみが不思議そうにこちらの様子を窺っている
「すまない。お前が幸せなら、それでいいんだ。」
ははっと乾いた笑いの後に俺が言う。
よくなんかないのに。
本当は俺と幸せになってくれとすがりたい。
「本当にすまなかったな。もうすぐ授業始まるぞ。行きなさい。」
これ以上、かなみといるとおかしくなってしまいそうだ。
「はい…」
かなみが科学室から出て行こうと、教室の引き戸に手をかけるが、こちらを振り返って俺を呼んだ。
「かずあき…」
かなみが俺をそう呼ぶから、俺は感情が抑えきれなくなってしまい、かなみを強く抱きしめてしまった。
「ちょっと…せんせ…」
「先生だなんて呼ばないでくれ」
俺をまた教師と見たかなみを俺はさらに強く抱き締めた。
ずっとこうしたかった…
そして言ってしまった
「戻ってきてくれないか…」
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