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似ているのではない。
かずあきだった。
ふと、かずあきがこちらに気づいて目が合った気がした。
やましいことなどなにもないのに、目を逸らしてしまった。
「けんちゃん、早くいくよ」
「あ、はいっすいやせん」
部屋に入ってからもけんちゃんが1人で歌うばかり。
私はかずあきのことで上の空だ。
どうして、あんなに切ない顔をするの?
やめてよ…
「次、かなみさん歌って下さい。」
健二が機嫌を伺うように話しかける。
「♪~今まで大人のつもりでいた~」
『もしも雪なら』を歌いきった私の目には涙が滲んでいた。
「か、かかかなみさんっ?」
けんちゃんがすごく慌てていた。
ごめんね。
「ごめんね、けんちゃん…今日はもう帰ろうか…」
「……」
「わかりやした」
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