終焉?

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ただ真っ直ぐに続くのみの廊下に現れた保健室である。 そこからカスミの意図の様な物を感じ取ったのだ。 相手は物の怪…入った途端にガブリなんて事も有り得る… つまりは罠だと判断した俺だ。結果…保健室の扉から、なるべく離れた位置を全力疾走のままスルーしかけた瞬間… 『駄目よ…冴木く…もう持ちそう無…早…入っ…』カスミの掠れた声が俺の脳内に流れる。 それと同時に…見事な疾走姿勢のまま金縛りだ!? 「ンゲェ!?」言葉にならない呻き声を上げ勢いのままゴロゴロと転がり…横倒しで止まったのはキッチリと扉の正面。 オイオイ… 全く…出来過ぎも良い所だ。 半分呆れ半分緊張する俺はゴクリと生唾を飲み込む。 と…音に反応するかの様、横開きの戸がゆっくり、カラカラと音を発てながら開く… その先に見えるのは…毎度の暗黒である。 一瞬の安堵、だがしかしそれも束の間…今までとは異なる点あった。 表面がゾワゾワと波打ち、今にも溢れ出してしまいそうな勢いで動めいているのだ。 それは良く良くみると膨大な量の触手!?黒いミミズの様な物が戸口にビッシリと生えているのだ!? その蠢く様は巨大な磯巾着を思わせる。 俺は未だに手足身体が全く動かせない。 今から起こるであろう事態を予想し…横倒しの額からは脂汗が滲み出し、やがてポタリと垂れ落ちた。 振動に反応したのだろう… 一瞬、動きを止めた黒ミミズ共が動けない俺へと目掛けて一斉に伸び、飛び着いたのだ!? 後は早かった… アッと言う間に全身に巻き付きポッカリと口を開けた暗黒の保健室へと俺を引き摺り込んだのだった… 「う~ん…」呻きつつ目を開いた俺の瞳に映ったのは、やけに白い…天井だ。 次に入って来たのは臭気…消毒薬独特の鼻を衝く匂いである。 と… 「先生っ!!」目覚めた途端にベッドサイドから上がった声…それは園部カスミ!? 声の主に気付き…瞬時に飛び起きた俺だ。 そのままベッドに仁王立ちである… 「そ、園部っ!お前っ…」声を上擦らせつつ彼女を指差す。 そこに腰掛けているのは紛れもなく園部カスミ。形容詞を付け加えるならば《普通の》だ… と、ドタバタと騒がしい俺の耳に凛とした声が届く。 「目覚めよった途端に騒々しい奴じゃな…冴木功太…」と…
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