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そんな完ボケ状態の俺が弁天様の声で眼下に見たのは…
煌々と光を放ち…
夜空に忽然と浮かぶ…
コンビニエンスストアーだ!?
「な、なんすかありゃ…!?」突拍子もない画ヅラに声を上擦らせる俺と…
『ふむ、どうやら営業中じゃ…ラッキーだのぅ…』と、眼下にある非日常的光景など全く意に介さず…日常的会話を口にする弁天様である。
オイオイ…
あの世にコンビニって…
仕入れは?店員は?こんな所で商売って…?
一瞬の間に疑問符の飛び交う俺の脳内に声が響く…
『よし!寄るとしようぞ、冴木功太よ!』と…
「イラシャイマシ~ッ!」明るい店内に響いた声は若い男性。微妙に狂ったアクセントに釣られレジカウンターを振り向いた俺の目に、まず飛び込んだのはサラッサラのキラッキラ…完璧なブロンドヘアだ!?
少し長め、癖のある前髪の奥には紺碧の瞳。
整い過ぎた顔立ちに、まだ10代のあどけなさを残す少年である。
それが店の制服をキッチリ着こなし、上品な笑顔を浮かべつつも…その柔らかな笑顔に似つかわしくない揉み手をしながらカウンター内に陣取っている…
余りのシュールな画に一瞬、ギクリと立ち止まり視線を合わせてしまった俺だが…強引に目線を叩き切りクルリと踵を返して店外へと向かう…
こんな状況にロクな事などある訳が無いと、身体が反射的に動いたのだが…瞬間、あの感覚と共に世界が遠退く。
「イヤ~!助カリマシタ~ス!アソコニ隔離サレテ半年ニ…」と、俺の背におぶさる形で張り付き…軽い口振りでペラペラと身の上話を語るのは当然、先程の外国人コンビニ店員である。
弁天様が有無を云わさず顕現化し…保護?したのだ。
とりあえず彼の説明を要約しよう…
とある大国の特別大使として来日していた彼だ。
お国の為にと職務に邁進していた、ある日…
突然、上司に呼び付けられたと思いきや予想外の転属を告げられたのだそうだ。
唖然とする間もなく新たなる職場へ赴くと…そこで待ち受けていたのは色黒のマッチョマンと妙な日本語を遣う短気な魔女。その二人に因って奇妙なドアへと放り込まれ…気付いた時には宇宙空間に浮かぶコンビニに居たと言うのだ。
丸々、俺の体験と被るヤレヤレな外国人少年…そんな彼はウィリアム・フリードマンと名乗った。
と…彼の背景を語った所で、俺の閃きが記憶の片隅から答えを引っ張り出した!?
オイオイ…
ウィリアム君ってば…
俺の前任者ぢゃねぇか!?
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