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そんなひかると数人の人とを取り残し、電車はアナウンスの後に発車してしまった。
電車が流れた後に吹いた風はまるで、今ひかるの瞳に映ったそれを消した犯人を知っているかのようだった。
学校に着いてもひかるはまだ納得がいかなかった。
自分の机に肘をついて、珍しく友達とも話さずに考えていた。
あの事を。
確かにそれは事実で、目の前で人は、あの少女は死んだ。
なのに、嘘だった―…?
ふとガラス越しに窓の外を見る。澄み切った空は何も知らない。
むぅと頬を膨らまして考え込む。(じゃぁ、あれは何だったの?)白昼夢?
あんなに現実(リアル)な物が?
皆が気付いてない?
ありえない。
おかしい。
全部おかしい。
悩みすぎて分かる事も分からなくなりそうな思考に陥ってしまい、髪の毛を掻き回した。
「あぁー!!!!」
教室中の視線が痛いほどにぶつけられる。
だが、ひかるは気にせずに立ち上がり、教室を後にする。
静まり返った教室を断ち切るようにぴしゃん、と扉を閉めると、さらに静寂が生まれてしまったが、廊下をずんずんと歩くひかるが知る由もない。
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