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しかし、他の生徒はいない。
玲菜は俗に言う、飛び級、しているのだ。
掛け離れた頭脳の持ち主で、もう社会のトップクラスの人材といっても過言ではなかった。
「失礼します」
凛と言う。
その声は誰もいない教室にすっきりと、響いた。
しかし先生の姿さえ見えない。
玲菜はため息をひとつ零した。
すると奥の扉から白衣の男性がやって来る。
「おや、玲菜が来るなんて…もうそんな時間か」
くせっ毛の短い髪をがしがしとかきながら煙草の煙を吐き出す。
だらりとした服装に煙草。
セットすらしていない髪。
先生とは思えない風貌は見慣れたモノだった。
「煙草くらい生徒の前では我慢できませんの?」
「俺から煙草を取り上げるなんて俺に死ねと言ってるようなもんだぜLady(レディ)?」
指で煙草を掴み、片眉を上げて皮肉るように言って見せる。
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