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玲菜はまたため息をついてから、歩み進めて机に授業道具を置いて閉じられた教室の窓をばんっと開け放つ。
差し込む朝日と涼やかな夏の風。それにその先生は腕を大袈裟に翳(かざ)した。
「うわぁぁぁっ!!」
「貴方はドラキュラですか!!」
少しいらついたように言うと先生ははは、と笑う。
よくよく見れば先生は玲菜と同じく顔立ちが整っている。
きちんとすれば格好良くなる。
なぜ、そうしないか。
それはこの男の性格上の問題。
……面倒臭いから。
玲菜は腰に手を当てて頬を膨らました。
「もうっしっかりして下さいな!!嘘でも、仮にでも、貴方は先生なのですよ!!」
「…へいへぃ」
「返事ははっきり!一回!!」
「はぁいっ!!」
叫ぶように返事したその男。
そういえば名前を言っていなかった。
この男の名前は、英語担当教師の柾稜 雅(まさかど みやび)。
実を言うと、雅はひかるの実の兄である。
何故、苗字が違うのか?
それは恐らく皆が思っている通り両親の離婚があったからだ。
まぁ詳しく話すと長くなってしまうのでこれで済まそう。
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