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しかし女子校に男、というのはいかがわしいものだが雅は安全だ。
それは、この男が女子には全く興味がない、つまりゲイ―…
もとい、同性愛者だからだった。
しかし玲菜はそんな事で偏見を持つような安い人物ではない。
それに女子校に男性教師が来るというならばそんな事、玲菜は想定済みだったのだ。
だから他の先生達と同じように接する。
…いや。
少しばかり訂正するべきか。
こんな風に玲菜は先生にため息をついたり怒ったりはしない。
雅だけだ。
特権といえば聞こえは良いが…
頼りないがために玲菜は世話を焼いていた。
玲菜が席に着くのを見て、面倒そうに雅は教卓につく。
「仕方がない。授業を始めるか」
「予定より5分も時間を押していますけれど」
ぴしゃり。
冷たい玲菜の言葉が雅に突き刺さる。
しかしそれこそが褒め言葉と雅は嫌がるどころか、微笑んで続けた。
「復習はしてきたんだろう?」
「予習も」
口笛を軽く鳴らして手を叩き拍手する。
「お見事。じゃぁ早速訳してもらおうか」
すると雅は淡々とした口調で教科書の英語をすらすらと読んでいく。
伊達に一対一で授業をやるだけはある。
玲菜はその発音に耳を傾け、昨日の予習を思い出す。
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