はじまり、はじまり。

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ひかるは夢だったんだ、と頭の中で何度も何度も言う。 そして吹っ切れたようにぱっと閉じた瞼を開ける。 瞳いっぱいに入り込んだのは、変わらない真っ青な空―… ではなく。 女の子だった。 考えるより早く、どさっと女の子はひかるの上に落ちてきた。 ひかるの上に落ちてきたその子はぴぎゃ、と呻いたがひかるには聞こえていなかった。 その衝撃で気絶寸前だったのだ。視界がぐるぐると回る中でひかるは何も考える事が出来なかった。するとひかるの上に落ちた女の子がむくっと起き上がって、頭をさすりながら言う。 「いったぁー…」 ぴょこんっと頭の上で触角のような髪の一束が飛び出す。 短い髪の毛は亜麻色に染まって、服装は… …なんとも個性的なものだった。まるでアニメからそのまま飛び出してきたような、天使のような小さめの羽の飾りに、短いワンピースのような服に十字架が大きく描かれている。
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