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「と、とにかく…どいてくれない…?」
するといつの間にか半泣きになっていたその少女は、あ、と漏らしてすっと退けた。
案外すんなりとどいてくれたため最初からそうしてくれれば…と頭の中で毒づく。
ひかるは立ち上がって背中をぽんぽんと払い、改めて少女を見た。すると少女はきゅぅっと可愛らしい顔で睨んできた。
「あたしは何と言われようと貴方の魔法なんだから!!」
話の内容どころかその怒りの理由さえ分からない。
ひかるはまず手始めに最初の疑問をぶつけてみた。
「えと…あなたは?」
するとぼそぼそと喋りはじめた。「……天見愛流」
それはその少女の名前らしい。
そしてひかるは次の質問に移る。「専属の魔法ってどうゆう事?」すると愛流は頭の触角のような髪までしゅんと落ち込ませた。
専属の魔法、ってなんなの?
自分は知らない訳であって…
そんな非現実的な事をすぐに理解出来るわけがない。
じっと答えを待っていると彼女はまた涙を浮かべながら呟いた。
「……あたしは、魔法ってのは守護神みたいなもんなのっ!!!」
守護神。
ますます非現実的に陥っていく話の内容。
ひかるはぐるぐるとなる思考をなんとか、乱暴にでも整理する。
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