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だって。
もしそれが本当なら、彼女は一回死んでいる。
何も覚えていない彼女。
その最後の記憶を、もしかしたら自分が、自分だけが知っていることになる。
何故かその記憶を話すことは出来ない。
口が、身体がそれを拒んでいた。
理由は、分からなかった。
時は流れる。
すっかり日が暮れ、夕方。
カラスが遠くの空で鳴いている。
学校も終わり、ひかるは大きなリュックを背負って歩いていた。
愛流と一緒に。
するとおもむろに愛流が口を開いた。
「どこ行くの?」
「へ?あ……友達の学校だよ?」
気を抜いていた。
間抜けな声の後に答える。
愛流は気にしていないようだが、ひかるはずっと考えていた。
あの少女が、本当に今朝の…?
ない頭をフルに使って考えるが、どうしても分からない。ただ、似ていた。
だけどそんな根拠もない理由だけで決め付けるのはよくない。
だからこそ悩んでいた。
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