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その時、声が上がる。
「おーい…俺の存在無視かよ…………っ?」
それは雅だった。
ひょっこりと玲菜の後ろから現れた雅は、玲菜の正面に立つひかるの姿を見て硬直する。
それはひかるもだった。
「………………お兄ちゃん」
呆然と立ち尽くすひかる。
頭を駆け巡るのは解決の糸口がない疑問。
どうしてこんな所にいるの?
驚きで声が枯れてしまったひかるはただその瞳に兄の姿だけを写し夕日がもう暮れてしまいそうなのも気が付かなかった。
不気味に蝉の声が響いた。
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