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そう遠くない過去の話。
二年、いや、一年くらい前のことだろうか?
新任の先生は教室に入った途端に生徒からの歓声を浴びる。
端整な顔立ちだからだろう。
しかしそんな事に興味のない玲菜は自己紹介している間も、上の空だった。
その日の放課後。
授業も終わり、ひかるを待たせてはいけないと手早く道具を鞄に詰め、教室を出ようとした時。
『上之宮―…上之宮玲菜はいるか?』
教室の扉から顔を出して彼女の名前を読んだのは、新任教師、鷺原(さぎはら)雅であった。
『―……はい』
静まり返る教室に玲菜は冷静に答え、立ち上がった。
すると彼は視界に玲菜を捕らえ、にこっと笑いかけた。
『ちょっとだけいいかな?』
『……………はい』
早く帰りたいのだが…。
先生だからそんな事も言えるはずが無く、玲菜はしぶしぶ雅の後をついていった。
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