はじまり、はじまり。

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*** ひかるはそれに聴き入りながら、雅は頬杖をついて不満そうな顔をしていた。 玲菜は細く白い喉をこくり、と動かしてまた紅茶を飲んだ。 「…二人は気まずい関係なんだと思いましたの」 瞳を伏せ、赤い唇をしなやかに揺らす。 「そうでなければひかるだって、雅の事は私に話してくれたでしょう?」 「…………うん」 離婚した。 自分には兄がいる。 父が引き取った、なんて言いにくかった。 親友だから、余計に。 小さくなってひかるはミックスジュースを刺さったストローから吸い上げた。 だけど、何故? ひかるにはまだ一つ疑問が残っていた。 雅に向き、ひかるは心の底から問う。 「何で冷たくしたのっ?」 あの頃の兄とは分からないほどの変形ぶり。 玲菜に聞いてひかるの安否を確認し、ちゃんと覚えていてくれたのに。 その話からは昔と変わった所なんてない。 鮮明な記憶と同じ、優しくて尊敬できる兄だった。
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