はじまり、はじまり。

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息を切らせて、ひかるが足を止めたそこはある公園の前。 その入口の所で、ある少女は腕を組んで凛々しく立っていた。 ひかるは一度止めた足をまた小走りさせて少女に近づく。 ぱたぱた、ぽてぽてという効果音が聞こえてきそうなその足取りに少女はひかるの存在に気付いたのか長い髪をなびかせて振り向く。「ごめん、寝坊しちゃって…」 ひかるが半泣きでいうと少女は鼻を鳴らして見下すように腕を組み直した。 「全くですわ。どれだけ私を待たせるつもり?」 お嬢様口調の少女を、上之宮玲菜という。 いや、お嬢様口調、は間違い。 実際にお嬢様なのだ。 彼女が身に纏(まと)う白を基調とし、襟元に大きなリボンがついたそれこそお嬢様学校の制服。 聖ストリジア学院の制服なのだ。拗ねたのか玲菜は顔をふいっと背けた。 相当怒っているらしい…。 ひかるは走ってきたせいで苦しい胸を押さえながら、何度も謝る。「ごめ、ごめん…玲菜ちゃん…」ぜぇぜぇと肩で息をしていると玲菜は背中をさすってきた。 そして顔を少しだけ赤くしながら慌てて付け加えた。 「べっ…別にそんなに怒ってませんのよっ!!そこまで謝る必要なんてありません。走ってきてくれたんですし…」 ごにょごにょと濁る語尾にひかるはくすり、と笑ってありがとうと言った。
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